建築士の仕事は楽しい。
建築の世界って底なし沼のような世界で、
自分の知識のなさで、
ずぶずぶと沈んでいく恐怖を感じることもあるが。
本当に広くて深い世界である。
この世界に飛び込むきっかけは「阪神大震災」
当時高校生で美大目指していた私は
神戸の美大塾に通っていた。
巨大地震の後
電車が途中までしか行かないので
そこから延々と歩いて神戸の中心部の塾まで歩く(皆黙々と歩く大行列)。
倒壊した建物に花が供えられている。
1棟や2棟ではない。その光景に気が付いた時
「私は何をしているんだ」って思っちゃった。
色使いがいいとか、この一線に思いが籠っているだかと
そういう感情が急にチープに思えてきて芸術に対する思いが一気に冷めてしまった。
あの時の光景は今も忘れていない。
残念ながら賢くもなかったので
後に底辺大学建築学科に行くんだけど、
そこで建築の面白さを知ってしまう。
誇れる大学名でないが、
「一級建築士になったら
東大出た建築士と肩書が同列扱いじゃね?」
って気が付いて(単純なアホでよかった)
猛勉強して資格取得。
普通の人は大学受験が人生で一番勉強した時だと思うけど、
私はこの時だ。
仕事もしながら、(結婚してたので)協力を得られなくて全ての家事もあり、
本当に頑張ったと思う。
何度かチャレンジして最後の年となったチャレンジでは
半年で8キロやせた(合格後すぐ戻る)
そんなこんなで
大学卒業から
何度か事務所を点々としつつ、(育児期間はやらず)
ずーと設計畑を歩んでいる。
大失敗をやらかし眠れぬ夜を過ごしたことも幾度もあるが、
仕事が楽しくないと感じたことはない。